作曲家/ソロ・アコースティック・ギタリスト、南澤大介のブログです。
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南澤大介(みなみざわだいすけ):1966年12月3日生。プラネタリウム番組のサウンドトラック制作などを中心に活動中。CD付き楽譜集「ソロ・ギターのしらべ」シリーズ(2010年現在累計35万部)などの著作もあり。

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音楽を構成する要素の中で、私はメロディが一番大切だと考えています。ですので、メロディの改変はかなり避けています。

私は作曲もしますが、作曲家としての商業デビュー作において、メロディを無断で変えられたことがありました(20年以上経った今でも、トゲは心に刺さったままです)。これを教訓として、オリジナルの作者、すなわち作曲者の意図をできるだけ尊重するように心がけています。

ただ、“閾値”、すなわち“どこからを「改変」と考えるか…の境界線”をどのくらいに設定するか…は非常に難しいところです。たとえば、ヴォーカリストによってはメロディのリズムを崩して歌う方も多いので、その再現を優先するのか、演奏しやすい(器楽曲として成立させやすい)譜割りに直すのか…は、アレンジャー次第だとも言えるでしょう。ちなみに私自身で言えば、特に最近の楽譜集アレンジでは、おおよそ前者…すなわちヴォーカリストによって崩されている(かもしれない)一般的に有名なヴァージョンの譜割りを、優先するようにしています。

昨年発売したCD付き楽譜集『カーペンターズ/ソロ・ギター・コレクションズ』の場合、ヴォーカリストであるカレン・カーペンターさんが(意外と)崩して歌うタイプの歌手なので、メロディの再現がかなり難しかったです。基本的にはできるだけオリジナルに忠実にメロディを再現していますが、奏法的にニュアンスが出しにくい場合は、意図的に簡素化している(再現していない)部分もあります。



たとえば「愛のプレリュード」では、出だしの「We've only just begun」のbe「gun」で、実際には(楽譜上の表記で言うと)A音(gu)→B音(n)、と音高が変化(上昇)しているのですが、この2音を普通にピッキングするとB音が強くなりすぎます(と私は考えます。これもいつか詳しく書きます)。そのため、通常こういった場合、私はスライドやハンマリングなど、後ろの音が柔らかくなるようにアレンジするのですが、ここではB音が開放で弾ける音ですので、スライドやハンマリングを使うと押弦が必要となり、かえって煩雑になります。ですので、ずりあがる前段音のA音を略しB音のみを弾くようにしています。


▲「愛のプレリュード」カーペンターズ(アルバム・ヴァージョン)。動画冒頭に出てくる楽譜をよく見ると、メロディがもっと簡素化されています。

ちなみに、オリジナルの作者であるポール・ウィリアムスのヴァージョンでは、同箇所は(楽譜と同じGメジャー・キーとして表記すると)A音(gu)→B音(n)とはなっておらず、D音(be)→B音(gun)と柔らかく下がっています。このことから作曲時にはA音は(楽譜に)書かれておらず、カレンが歌う時にフェイクした可能性が考えられます(もちろん、確証はありませんが)。


▲「愛のプレリュード」ポール・ウィリアムス(アルバム・ヴァージョン)。
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