ちょうど
今日のクリニックでお客さんから質問があったこともあり、ウィリアム・アッカーマンのことをちょっと。
ウィリアム・アッカーマン(現在の表記はウィル・アッカーマン)は、ドイツ生まれのギタリスト。ピアニストのジョージ・ウィンストンで有名なウィンダム・ヒル・レコードの設立者である。高校生だった私はラジオで「壁と風」(アルバム『Childhood and Memory』収録)を聴いて魅了され、ウィルの音楽をきっかけにマイケル・ヘッジスやアレックス・デ・グラッシ(いずれも当時ウィンダム・ヒルからデビューしたギタリストだった)を知り、そうこうして大学時代には所謂ソロ・ギター・スタイルにどっぷりハマって行くのである。ちなみに、生まれて初めて買ったLPレコードはウィルの『It Takes A Year』だった。
というわけで、個人的に思い入れが強いのは2nd『It Takes A Year』、3rd『Childhood and Memory』、4th『Passage』、5th『Past Light』あたりなのだが、Amazonで見ると初期のアルバムは軒並み高値が付いているので、オススメとしてベスト盤『ベスト・オブ・ウィル・アッカーマン』も上げておく(ちょうどジャケットも顔写真だし)。このベスト盤には初期の代表曲「ブリックレイヤー家の美しい娘」「プロセッショナル(行列聖歌)」「アンの詩」「無垢の心と誘惑の影」なども収録。大学生の頃、どれもよく弾いたなぁ。「アンの詩」は同じサークルの女の子にフルートを手伝ってもらったり(ベスト盤と『Passage』のヴァージョンには入っていませんが、『Childhood and Memory』ヴァージョンにはフルートが入っていたのです)。
そして、お客さんの質問は「Remedios」(アルバム『Passage』収録)をコピーしたいとのこと。ウィルはオープン・チューニングで作曲しており、
オフィシャル・サイトには
チューニングを掲載したページもあるのだが、肝心の「Remedios」のチューニングが無かった(ちなみにこのページではチューニングが、カポをした状態での音名で表記されているのでご注意を)。
手持ちの資料をいろいろ調べてみたところ、かつて私がやっていたギタリスツというギター同好会の会報第7号(1986年7月発行)にウィルとヘッジスのチューニングリストが掲載されていた(といっても、若き日の私がまとめたものなのだが)。せっかくなので「Remedios」を含む、上記のオフィシャル・サイトに掲載されていない曲のチューニングを、下に記しておく。Fさん、参考になれば幸いです。
3rd『Childhood and Memory』
「The Velvet Gentleman」 F#-B-D-F#-A-E (3capo)
4th『Passage』
「Remedios」 D-A-D-F-A-C (2capo)
「Pacific I」 C-G-C-G-A-E
「Passage」 C-G-C-G-A-E (2capo)
5th『Past Light』
「Garden」 E-B-E-G-B-D
「Three Observations of One Ocean」 D-A-E-F#-A-D
「Pacific II」 A-E-C#-E-B-E (2capo)
「Rain to River」 D-A-D-F#-A-C# (5capo)
「Night Slip」 G-B-D-E-A-D (4capo)
v.a.『A Winter's Solstice』
「New England Morning」 D-G-B-G-B-D (4capo)
耳コピしたものもあるので、絶対正しいかどうかは不明。また、全弦が半音単位でずれている可能性もあり(カポの位置も同様)。逆に言えば、たとえば「Velvet Gentleman」で5、6弦を上げたくない場合、E-A-C-E-G-Dの5capoで演奏することも可能…ということだ(下げた弦がデロデロになるかもしれないが)。
さらに参考までに、現在入手可能なウィルの楽譜を上げておく。いずれも洋書だが、楽譜(TAB譜付き)を読む分にはまったく支障無し。意外と過激なオープン・チューニング(「アンの詩」なんて6弦をGまで上げるし。全弦半音下げにしたとしてもF#…)に覚悟しつつ、機会が有ればぜひチャレンジを。
『The Will Ackerman Collection』
アンの詩 ★
ブリックレイヤー家の美しい娘 ★
クライミング・イン・ジオメトリー ★
月に向かって(『Conferring With The Moon』収録)
無垢の心と誘惑の影 ★
リージョン・オブ・クラウド ★
パッセージ(『Passage』収録)
プロセッショナル ★
シェラズ・ピクチャーズ(『Sound of Wind Driven Rain』収録)
シアトル ★
シェイプ・オブ・ザ・ランド(『Conferring With The Moon』収録)
ロースト・ビーフ・レストランの誘惑 ★
タウンシェンド・シャッフル(『It Takes A Year』収録)
そして、訪れ ★
『Windham Hill Guitar Sampler』
この楽譜はウィルをはじめ、アレックス・デ・グラッシほかウィンダム・ヒル・ギタリストの曲が収録されている(残念ながらヘッジスは無い)。ウィルの曲は以下の通り(すべて『The Will Ackerman Collection』にも収録されている)。
アンの詩 ★
ブリックレイヤー家の美しい娘 ★
プロセッショナル ★
リージョン・オブ・クラウド ★
シアトル ★
★はCD『ベスト・オブ・ウィル・アッカーマン』収録曲。
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