ゴダイゴは、私が多大な影響を受けたミュージシャンの中の一グループである。もともとは小学生の頃、ゴダイゴのかなり熱烈なファンだったクラスメイトからLPを借りたのが始まりだった。その頃はドラマ「西遊記」主題歌の「モンキー・マジック」や「ガンダーラ」が流行っていたはずだが、見ていなかったのでよく知らなかったのである。初めてTVでライヴを見た時は、日本人なのになんで外国の曲ばっかりカバーしてるんだろう…と思った(笑)。オンタイムで聞き始めたのは、1979年の『Our Decade』(下記リンク上左)から。13歳だ私。
ヴォーカルのタケカワさんの歌や声質もさることながら、愛だの恋だのとは無縁の陰りを帯びた歌詞(『Our Decade』や『Dead End』)、アルバム丸ごとひとつのコンセプトに基づいたテーマ性(私が『Sgt. Peppers〜』を知るのは中学に入ってからなのだ)、そして今思えば、メロディやコード感がポップなのにどこかヒネられた、噛めば噛むほど味が出るような楽曲の高い音楽性(「銀河鉄道999」の転調に気づいたときは、けっこう衝撃でした)。そんなところに魅力を感じていた(いる)んだと思う。
今でも作曲の仕事の時に、フッと力を抜いて作ったメロディが「なんだかどこかで聞いたことがあるなぁ…」という気がして、数日後に「あ、これゴダイゴの○○だ!」とようやく気づいて書き直す…ということもあったりして、そのくらい自分の根っこの部分を形作っていたりする。
さて、そんなゴダイゴの旧譜CDが、今年の3月に再発されるとの情報が。そして全オリジナル・アルバムを収録したBOXセットもアナウンスされている(下記リンク上中)。私の持っている、以前15周年記念でリリースされた10枚組のBOXセットは、レア曲などは多くて良かったのだが、オリジナル・アルバムから曲を削って収録されていた(「Magic Painting」とか「Panic〜Images」とかが無い)。最近またよく聴いたりしていて、そんなヌケ曲がちょっと歯がゆかったところだったので、グッドタイミング…とばかりにAmazonで予約。
話は変わって。オンタイムで聴いていなかったにもかかわらず、郷愁を感じてしまう音楽がある。…「郷愁」という言葉とはちょっと違うか。うーん、自分が中学生とか高校生くらいの頃に抱いていた、「大学生」という言葉のオトナなイメージ…というか。下北沢、学生運動、学生街、4畳半一間のアパート、下宿…実際には学生運動も終わってたし自宅から通ったのでアパート暮らしもしてないのだが、そういうあたりの「古き良きオトナの世界」へのアコガレのようなものが、音楽から香り立つのを感じることがあるのだ(たぶんとても極私的な感覚なのでしょうけれど)。
自分にとってそんな音楽がSHOGUNであり、大貫妙子さんの1〜2枚目であり、Charさんの1〜3枚目である(いずれも大人になってから初めて聴いた)。要するに70年代後半の香り、ということか。
で、Charさんの3枚目『Thrill』(下記リンク上右)。14〜5年前に演劇のサウンドトラックを作る際、「こんな感じの曲が欲しい」と言われて聴かされたのが、このアルバムに収録されている「Wondering Again」だった。寂寥感と、日の出のようなすがすがしさが同居するこのバラードに心を打たれ、以来自分のお気に入り曲のひとつになり、今でもたまに聴いたりしていたのだが。
つい先日、上記のゴダイゴ新BOXなどの情報をネットで調べるうちに、この『Thrill』の(LPでの)B面はゴダイゴが演奏しており、「Wondering Again」はゴダイゴのトミー・シュナイダーさんの作詞によるものだと知った(遅…)。これはもしかして、自分の「ゴダイゴ・アンテナ」に反応していたのか!?なーんて思ったり思わなかったり。アルバムそのものを持っていないので、アーティスト・クレジットも歌詞も解らないままだったのだが、近いうちに探して買ってみることに。
さらに余談。「赤ちゃんと僕」などで有名な漫画家の羅川真里茂さんに「ニューヨーク・ニューヨーク」(下左)という、ゲイの主人公の愛と絆を描いたコミックがある。ゲイといっても昨今のBL系とは違いかなりシリアスで、十分普通の恋愛モノとして読める内容(ちなみに私は、BLはある種のファンタジーだと解釈しています)。そのラストシーンに、この「Wondering Again」がとても良く合う…気がする(これもとても極私的な感覚なんだろうなぁ)。もし両方ご存じの方は、試しに曲とコミックをリンクさせてイメージしてみてください。もしピンと来たら…同志だ(笑)。
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